バナウェ近くのキアンガンが何気に素晴らしかった件について

行って良かった! 心からそう思える街に滞在しました。

ルソン島北部の山間部に広がるライステラス巡りの拠点となる街、バナウェの近くにある街、キアンガンです。

バナウェ近辺には、ほとんど旅行者が訪れないものの、美しい自然に囲まれた街がいくつもあります。キアンガンもその一つ。

旅行者で溢れるバナウェとはうって変わって、キアンガンはひっそりと落ち着いた佇まいを見せる山間の小さな町です。

キアンガン近辺にもライステラスがありますが、欧米人バックパッカーが多く滞在するバナウェとは異なり、キアンガンは、未だ全く観光地化されていません。

それでいて早朝、美しい山間に雲がかかる様子は、まるで名画を見るような美しさです。

キアンガンは旅行者にはあまり知られていませんが、歴史好きの方の間では、実はかなり有名な街です。

第二次大戦中、「マレーの虎」の異名で知られる山下奉文大将が連合軍に投降した場所として知られています。

山下将軍はキアンガンで投降した後、バギオに移され、正式に降伏の書類をサインしています。

フィリピンの山間の美しい自然を静かに堪能したい。一人旅が好き。そんな方にオススメの街です。

キアンガンへのアクセス

キアンガンは、ライステラス巡りの拠点となるバナウェの南、約10Kmほど離れた場所にあります。

バギオから、あるいはバナウェからアクセスできます。

マニラからキアンガンへバスでアクセス

マニラからは、Ohayami Transというバス会社がラガウェ/キアンガン行きのレギュラーエアコン・バスを運行しています。

運行スケジュールは、毎夜9時30分発。料金は大人一人500ペソです。

マニラにあるOhayami Transのバスターミナルはサンパロックに位置しています。

1528 Fajardo St, Sampaloc East, Manila, 1008 Metro Manila, フィリピン

https://ohayamitrans.com/book-now/

バギオからバスでアクセス

ルソン島北部の高原都市、バギオからは、キアンガン行きのバスが毎日、運行しています。

バス会社は、KMS Lines(別名、Coda Lines)。

運行スケジュールは、毎夜9時発。料金は、一人430ペソです。

バギオのKSM Linesの時刻表

バギオのKSM Linesの時刻表

所要時間は、約9時間。つまり、夜9時にバギオを出発して、早朝5時頃にキアンガンに到着します。

正確には、キアンガンの隣町であるラガウェ近辺で小型バスに乗り換えて、キアンガンのタウンホール近辺に到着します。

KMS Linesのバスターミナル&チケットブースは、バギオの中心部にあるバーンナム公園の北側にあるリサール公園のすぐ近くです。

バギオのKSM Linesバスターミナル

地図も載せておきます。

Shanum St, Baguio, Benguet, フィリピン

なお、チケットはできるなら早めに押さえておいた方がいいです。

自分は夜8時頃、KSM Linesのバスターミナルに赴き、当日のチケットを購入しましたが、シートナンバーは53番でした。

バスの最後部座席です。ほとんどギリギリで空席があったことになります。自分より遅れてチケットを購入した乗客は、車内の中央の通路に小さな椅子を並べて座っていました。

椅子とはいっても、日本の銭湯で使うような小さな小さなもの。この椅子に座って、山道を延々走るのは……ほとんど地獄です!

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バナウェからジープニー、トライシクルでアクセス

自分は、キアンガンからバナウェまで移動しました。つまり、その逆も可能ということになります。

キアンガン⇔バナウェ間は、ダイレクトの公共交通機関がないため、トライシクルかジープニーで移動します。

キアンガンのタウンホール近くに、近郊に行くトライシクルのターミナルのような場所があります。

キアンガンのトライシクル乗り場

キアンガンからラガウェまでのトライシクルは、他の乗客とシェアすれば安く移動できます。

ラガウェのジープニー乗り場

ラガウェのジープニー乗り場

移動所要時間は30分程です。

トライシクルをシェアする他の乗客を待つのが嫌なら、貸し切りでトライシクルを利用できます。その場合は、100ペソが相場だと思います。

ラガウェ⇔バナウェ間は、ジープニーで移動できます。

所要時間は約1時間です。

バナウェからラガウェ行くジープニーは、パブリック・マーケット近辺のジープニー乗り場から出発します。

バナウェのマーケット近辺で、キアンガンに行きたい、あるいはラガウェ行きのジープニーはどこ? と尋ねれば教えてくれます。

バナウェののジープニー乗り場

キアンガンの宿

アゴダやBooking.comなどのオンライン予約サイトを見ると、キアンガンの宿はほとんど登録されていません。

ところが、実際にキアンガンに滞在してみると、一泊400ペソ台からの安宿が相当数、ありました。

宿はキアンガンの街に点在しています。点在しているとは言っても、キアンガンの街自体が非常に小さいため、さほど歩かなくても宿は見つかります。

地元の方に、「宿を探している」と言えば、宿を見つけるのにさほど苦労はしません。

自分は、英語サイトの情報を頼りに、歩いて宿を見つけました。サイトの情報はかなり古いですが、参考にはなりました。

キアンガンオススメの宿は「キアンガン・ビューポイント・ホームステイ」

キアンガン・ビューポイント・ホームステイ

オススメの宿は、ずばり「キアンガン・ビューポイント・ホームステイ」(Kiangan View Point Homestay)です。

ロッジのようなウッディな作りのゲストハウスのシングルルーム(バス・トイレ共用)なら、一泊400ペソです。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイのシングルルームがある棟

バス・トイレ共用のシングルルームとしては、ちょっと高めですが、それを補って余りあるゲストハウスです。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイのシングルルーム

眺めの良いテラスもあり、毎朝、雲海に包まれる山間のパノラマビューを堪能できます

キアンガン・ビューポイント・ホームステイのテラス

キアンガン・ビューポイント・ホームステイのテラスからの眺め

共用スペースも十分な広さ。掃除も行き届いており清潔です。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイの共用スペース

イフガオ族の伝統的な建築様式を模したコテージタイプの部屋(エアコン・バス・トイレ付き)もあります。グループ旅行者などにオススメです。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイのコテージ

とにかくキアンガン・ビューポイント・ホームステイから眺めるキアンガンの眺めが最高。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイからの眺め

毎日、この眺めを独占できます!

キアンガン・ビューポイント・ホームステイからの眺め

朝、昼、晩と時刻による刻々と表情を変えるキアンガンの風景。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイからの眺め

眼下に広がる山間の風景は、ライステラスではなく、農作物を育てている畑なので、「ベジタブルファーム・テラス」といったところ。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイからの眺め

キアンガン・ビューポイント・ホームステイからの眺め

山間のパノラマ風景を見ているだけで飽きません。

宿で食事もできます。特にメニューがあるわけではなく、「明日は、ここで朝食を取りたい」「今日は、夕食をここで食べたい」といった具合に事前にリクエストしておくと、毎日、美人の女将が腕をふるってくれます。

キアンガン・ビューポイント・ホームステイの料理1

キアンガン・ビューポイント・ホームステイの料理2

これが美味しい!

野菜を中心とした献立が日本人には嬉しい限りです。

毎日、宿に居ながらにして絶景を堪能できて、しかも女将は美人で料理が上手で親切。もう言う事なしの宿です。

キアンガンからライステラスのトレッキング

キアンガンから約6キロ程の距離にはフルガン・ライステラス(Julongan Rice Terrace)があります。

近郊にナガカダンの棚田がある。

キアンガンのツーリストオフィスや宿に頼めば、ガイド付きでライステラスをトレッキングすることも可能です。

また、こんな旅行会社もあります。

Tawali Terrace Tours

Tuwali Terraces Tour Services | Kiangan
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キアンガン街歩き

キアンガンは、約17000人ほどの小さな村です。それでも幾つかの観光スポットのような所があります。

「キアンガン・ビューポイント・ホームステイ」をはじめ、キアンガンのツーリストオフィスや見所を地図にまとめてみました。

Tinoc - Kiangan - Asipulo - Lagawe Rd, Kiangan, Ifugao, フィリピン

Poblacion, Kiangan, Kiangan, 3604 Ifugao, フィリピン

フィリピン イフガオ キアンガン

フィリピン イフガオ キアンガン

フィリピン イフガオ キアンガン

Dugong, Kiangan, Kiangan, Ifugao, フィリピン

イフガオ・ミュージアム(Ifugao Museum)

イフガオ・ミュージアム(Ifugao Museum)

キアンガンというより近隣のイフガオ文化の博物館です。博物館としては小さめですが、イフガオの稲作にまつわる農機具や伝統的な農民の家屋、衣装などが展示されています。

オススメの宿「キアンガン・ホームスティ」の外観を初め見た時、ヨーロッパのコテージを意識したものかな? と勝手に想像していました。

ところが、このイフガオ・ミュージアムの展示を見て、伝統的な家屋の様式を模したことに気づきました。

入場無料です。

内部の写真撮影は禁止されているので、彫刻が施された柱だけをパチリ。

イフガオ・ミュージアム(Ifugao Museum)の柱

管理人の方に、「日本から来た」と言うと非常に驚かれ、「本当によく来てくれた」と握手を求められました。

キアンガン戦争モニュメント(Kiangan Shrine)

キアンガン戦争モニュメント

綺麗に整備された公園と運動グラウンドのような場所の近くに、キアンガンの伝統的な家屋を模した戦争モニュメントがあります。ちょうどイフガオ・ミュージアムの正面になります。

キアンガン近辺でも激しい戦闘があったそうですが、それを物語るレリーフがあります。右端に日本兵がいます。

キアンガン戦争モニュメントのレリーフ

キアンガン戦争モニュメントのレリーフの日本兵

モニュメントの屋上に階段で上がることもできます。

キアンガン戦争モニュメント屋上からの眺め

キアンガン戦争モニュメントのちょうど正面にイフガオ・ミュージアムがあります。

辺りは綺麗に整備されており、眺めも良いので散歩がてら訪れるのにもイイですよ。

なお、ここでは「山下降伏記念式典」が10年に一度、開催されるそうです。

前回の開催は2015年9月2日だったので、次回の開催は2025年9月2日ですね。

山下陸軍大将が降伏したキアンガン中央小学校

キアンガン中央小学校

キアンガン中央小学校(Kiangan Central School)に、山下奉文陸軍大将が投降し、連合軍に降伏を申し出たことを記念する建物があります。

山下奉文陸軍大将はバギオに連行され、バギオで正式に降伏文書に署名しています。

敗戦後の1945年(昭和20年)9月1日、山下は第14方面軍司令官として山中からキアンガンの町に降りてきて降伏した。この持久戦の中の食糧難は第14方面軍司令部も例外ではなく、降伏時、巨漢で有名だった山下はすっかりやせ細ってしまっていた。山下大将が一時確保されていたキアンガンの小学校の校舎は資料館となっている。

出典:ウィキペディア 山下奉文#フィリピン防衛戦

ウィキペディアにはこのように記述されていますが、学校の先生に許可を頂いて実際に訪れてみると、校舎とは別にある、学校の小さな図書館のような建物が資料館となっていました。

山下陸軍大将の降伏資料館

山下陸軍大将の降伏資料館

山下陸軍大将の降伏資料館

セント・ヨセフ・カトリック・ミッション(Saint Joseph Catholi Mission)

2つの尖塔が印象的な教会です。規模こそ違うものの、建築様式がちょっとバギオ大聖堂と似ています。

キアンガンにあるセント・ヨセフ・カトリック・ミッション(Saint Joseph Catholi Mission)

セント・ヨセフ・スクール(Saint Joseph School)というという学校が併設されています。

というよりも、学校の方が主体のようです。

セント・ヨセフ・スクール(Saint Joseph School)

旧キアンガン・ホテル、現キアンガン・ユースホステル

第二次大戦中は、このキアンガン・ホテルに日本の兵隊さんが滞在していたそうです。

ユースホステルになっていると聞き、訪れてみましたが、閉まっており、中に入ることはできませんでした。

「Evacuation Center」とあるので、現在は、避難所として使われているのかも知れません。

旧キアンガン・ホテル、現キアンガン・ユースホステル

アンプワヤ湖(Anpuwaya Lake)

キアンガンの街の中心部から数キロ離れたところにアンプワヤ湖(Anpuwaya Lake)があります。

途中、田んぼや畑などの田園風景を楽しみながらのハイキング。

キアンガン周辺の田んぼ

キアンガン周辺の田んぼ

地図には湖とありますが、訪れてみると大きめの池といったところです。

アンプワヤ湖(Anpuwaya Lake)

アンプワヤ湖では、魚の養殖をしています。

アンプワヤ湖(Anpuwaya Lake)の養殖

魚を見せてもらうとかなり小ぶりの魚。なんていう魚なんでしょうか。

アンプワヤ湖で養殖されている魚

特にどうということはない小さな湖ですが、散歩にはちょうどいい距離です。

キアンガンまとめ

キアンガンの観光スポットを自分で歩いたり、あるいはガイドと共に近隣のライステラスをトレッキングして楽しむことができます。

現在のキアンガンは平和そのものです。第二次大戦中、日本兵が血まみれになって戦っていたとは、とても信じられないほど静かです。

戦争中は、日本兵やアメリカ兵だけでなく、大勢の地元住民も亡くなっています。

実際の話、第二次大戦中、フィリピンでは、日本軍の兵士は約51万人戦死しましたが、フィリピン人は約110万人も亡くなっています。

そんなことにも思いを馳せながら、静かに時間が流れるキアンガンに滞在してみては如何でしょうか。

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