パアンの聖なる山、ヅウェカビン山(Mt Zwegabin)に登ってみた

ヅウェカビン山

ミャンマーのカレン州の州都、パアンに滞在した折、地元で聖なる山として信仰されているヅウェカビン山に登ってみました。

パアンの最大の見どころと言えば、パアン近郊に点在している洞窟寺院ですが、それらはソーブラーザース・ゲストハウスの寺院ツアーで見て回りました。

残るは、地元のカレン人たちが聖山として厚い信仰を集めているヅウェカビン山。ソーブラーザース・ゲストハウスの洞窟寺院ツアーには入っていません。

洞窟寺院ツアーに参加した翌日、偶然、知り合ったミャンマー好きの旅行者のKさん一緒にヅウェカビン山に登頂しました。その時の詳細をレポートします。

パアンの聖なる山、ヅウェカビン山とは

平原が広がっているパアン近辺には、ところどころ石灰岩が起立した山があります。中でも一際目立つのが、パアンで聖なる山として信仰されているヅウェカビン山です。

ヅウェカビン山は標高723メートルと、決して高くはありませんが、それでもパアン近辺では一番高い山になります。

パアン近辺のどこからでもヅウェカビン山を望むことができます。パアンのシンボル的存在です。形状が非常に特徴的で、強いて言うなら埼玉県秩父にある武甲山に似ていないこともないです。

ヅウェカビン山は、地元のミャンマー人は言うに及ばず、旅行者の間でも人気のスポット。ことに欧米人バックパッカーの間では、頂上で日の出を見ることが人気を呼んでいます。

ヅウェカビン山の山頂にはパゴダがあり、雄大なパノラマ風景として日の出やサンセットを楽しむことができます。

ヅウェカビン山の南側の麓には、1,121体もの仏像が設置された「ルンビニ・ガーデン」(Lumbini Garden)が広がっています。広大な平原に整然と並ぶ仏像の姿は、まさに壮観の一言です。

お釈迦様の誕生を祝う「ウエサク祭」(Vesak)、日本で言うところの灌仏会(花祭り)には多くのミャンマー人が仏像に水をかけに訪れるそうです。

ヅウェカビン山の登頂ルート

ヅウェカビン山(Mount Zwegabin)は、パアン(Hpa An)の中心部から見て、南に約11キロほど離れた場所に位置しています。

ヅウェカビン山の麓まで行く公共交通機関はないため、車をチャーターするなり、バイクタクシーを使うか、あるいはモーターバイクをレンタルして行く形になります。

便利なのが、パアンの老舗ゲストハウスであるソーブラザース・ゲストハウスのトランスポート・サービスです。

ソーブラザース・ゲストハウスは、洞窟寺院ツアーを主催していますが、このツアーとは別に、ヅウェカビン山の麓まで車で送り届けてくれるサービスを提供しています。

片道料金、一人3000チャット。早朝7時発と、8時発の2便あります。

下の写真は、ソーブラザース・ゲストハウスのレセプションに張り出してある案内です。

ソーブラザース・ゲストハウスのヅウェカビン山へのトランスポート・サービスの案内

自分は、パアン近郊のサダム洞窟寺院で偶然、知り合った日本人旅行者のKさんと一緒に、モーターバイクをレンタルしてニケツで行きました。

パアンの町中にはレンタルバイク屋さんが数件あります。モーターバイクのレンタル料金は、1日レンタルで8000チャット~。

モーターバイクだと、パアンの町の中心部から所要時間、約30分弱といったところです。

ミャンマー パアン

具体的なアクセスルートですが、グーグル・マップを見ると、ルンピニー・ガーデンとヅウェカビン山の場所はわかります。でも、地図アプリ「Maps.me」の方が分かりやすいです。

地図アプリ「Maps.me」で見るヅウェカビン山の場所

「Maps.me」を見ると、ルンピニー・ガーデンの北側にヅウェカビン山の頂上へと登るルートがあることが分かります。

地図アプリ「Maps.me」で見るヅウェカビン山の登山ルート

さらに、ヅウェカビン山の頂上へと至る別の登山ルートがあることも分かります。

1,121体もの仏像が並ぶルンピニー・ガーデンは行ったことがなかったので、ルンピニー・ガーデンを通るアクセスルートを選択しました。
実際に辿ったルートをグーグル・マップのタイムライン機能で見ると、以下のようになります。

パアンからヅウェカビン山(Mount Zwegabin)へのルート
ヅウェカビン山を登るには入山料、4000チャットを支払う必要があります。自分達は、ルンピニー・ガーデンの入口にある「Tourist Information」で入山料を支払いました。

実際にヅウェカビン山を登ってみてわかった2、3の事柄

ヅウェカビン山の麓にある「Tourist Information」から、ヅウェカビン山の頂上までは、ゆっくり登って約2時間30分。山歩きに慣れている方なら、約2時間ほどで登ることができるはずです。

ヅウェカビン山は多くのパアン住民が訪れるだけあって、登山道はかなり整備されています。道の大部分はコンクリート製の階段です。

途中、トレッキングルートのような山道も多少ある感じです。道自体は歩きやすいのですが、とにかく階段、階段、また階段。

鬼のような急勾配の階段が延々と続いています。正直、かなりシンドかったです。登る途中、見晴らしの良いポイントがあることが救いでした。

それだけに、艱難辛苦の末、山頂にたどり着き、はるか外界を見下ろした時は感動ものです!
たった標高723メートルとはいえ、起伏の少ない平原のような地形が広がるパアンの眺望を堪能しました。

ことに眼下に、絶景スポットの水上寺院、チャウッカラッ・パゴダを見つけた時は感動しました!

ヅウェカビン山の山頂から日の出を見るには

ヅウェカビン山の山頂から、ご来光を見るためには、かなり早い時間から登り始めなければ間に合いません。

パアンで泊まったゲストハウスでは、レンタルバイクで深夜にヅウェカビン山に向けて出発していた欧米人バックパッカーがいましたが、日の出前の暗闇の中、あの登山道を約2時間かけて登るのは、ちょっと大変だなぁ、と思っていました。

ところが、後ほどヅウェカビン山の山頂には、一般の旅行者が宿泊できる僧房があると知りました。

素泊まりの簡単な宿泊施設ですが、日中に山頂まで上り、僧房に宿泊。翌日の朝、日の出を拝むことができるハズです。山頂には、僧房とは別に、レストラン(食堂)もあります。

僧房に泊まることに関しては、詳細な情報は確認していません。僧房に泊まって、翌朝、山頂で日の出を見ることを考えているなら、パアンの宿のスタッフなどに詳細情報を確認・相談してみましょう。

ヅウェカビン山の山頂へのケーブルカーが開通?

ミャンマー旅行を終えて、しばらく経ったある日。なんと、ヅウェカビン山の麓から山頂までケーブルカーが開通予定と知りました!

ええっ! まじか? 

グーグルマップで、ヅウェカビン山の写真を見てみると、確かにケーブルカーの写真がアップされています。

なんでも2019年に開通予定とのことでしたが、工事が遅れに遅れて、2021年に開通したようです。

一体、あの苦労は何だったのか! という気持ちにもなりますが、苦労しただけに山頂からの絶景を見た時の感動度は、推定値25%アップしたはず! と自分を慰めることにしました。

ヅウェカビン山の登山で気をつけること

ヅウェカビン山は、標高723メートルの低山です。とはいえ、灼熱の暑さの中、延々と続く急勾配の道は、思いの他、ハードでした。

服装に関しては、普通のハイキングスタイルで十分です。登山靴やトレッキングシューズの必要はなく、スニーカーで十分。ぶっちゃけサンダルでも不都合ないと思います。

必需品は、帽子と水です。日中はとにかく暑いです。灼熱といっていいほど暑さ。おまけに登山道には、ほとんど日陰がなく、涼むことができません。

脱水症状にならないよう、こまめな水分補給、塩分補給が必須です。登山道にはドリンク類を販売しているショップ、山頂には食堂もありますが、事前にたっぷりの水を用意して登りましょう。

ヅウェカビン登頂レポート

以下、実際にヅウェカビン山の山頂まで登った時の詳細をレポートします。

早朝7時に日本人旅行者のKさんとソーブラザース・ゲストハウス前で待ち合わせ。近くのラペイエザンで一緒に朝食を取った後、近くのレンタルバイク屋でモーターバイクをレンタルしました。

1日8000チャット。二人で料金をシェアしたので、一人4000チャットです。

そして、7時40分頃にパアン中心部を出発。舗装された道「Thiri Road」を南下。8時20分頃にルンピニー・ガーデンに到着しました。

ルンピニー・ガーデンの入り口

門をくぐると「Visitor Information」があります。ここで、記帳して入場料4000チャットを支払いました。

ヅウェカビン山のVisitor Information

ヅウェカビン山の入山チケット

平原には仏陀像がズラリと並んでいます。1121もの仏陀像が安置されているルンピニー・ガーデンです。

ルンピニー・ガーデンに整然と並ぶ仏像

ヅウェカビン山の方へ進むと、登山道の入口に到着。辺りでモーターバイクを駐車。8時30分頃から登山を開始しました。最初は穏やかな坂道です。

ヅウェカビン山の登山ルート入り口

周りに並ぶ仏像を見ながら、さらに奥に進むと階段があるので登ります。

ヅウェカビン山の登山ルート入り口付近

ヅウェカビン山の登山ルート入り口付近に鎮座する仏像

ヅウェカビン山の山頂へと至る階段

途中、ドリンク類も販売しているショップもあります。水分補給は大事ですね。

ヅウェカビン山の登山ルートにある売店

20分ほど登ると、何やら櫓のようなものを補修している箇所に到着。ここからの眺めが良いです。

ヅウェカビン山の登山ルートにある櫓

ヅウェカビン山の登山ルート途中の眺め

さらに登ると建物があります。僧院のように見えます。

ヅウェカビン山の登山ルート途中にある僧院

水飲み場も。

ヅウェカビン山の登山ルート途中にある水飲み場

山頂へ至る道は、コンクリートの階段が大部分を占めていましたが、トレッキング・トレイルのような山道もあります。

ヅウェカビン山の登山ルート

途中、小さなパゴダも。

ヅウェカビン山の登山ルートにあるパゴダ

ひたすら階段を登ります。

ヅウェカビン山の登山ルートの階段

ひたすら階段を登ると、見晴らしの良い地点に到着。こうした見事な眺望がところどころあるのが救いです。

ヅウェカビン山の登山ルートからの眺望

1時間20分ほど登ると、小さな祠がありました。

ヅウェカビン山の登山ルートにある小さな祠

ハチマキの様子がちょっと日本っぽいですね。この像は、モーラミャインでもよく見かけました。

ヅウェカビン山の登山ルートにある祠の様子

さらに階段。また階段です。

ヅウェカビン山の登山ルートの階段

登り始めて1時間30分。さすがにバテてきました。とにかく暑い。太陽の日差しを遮るものが何もないのがツライところです。

合間、合間に外界を見渡すことができるビュー・ポイントがあり、雄大な景色を鑑賞できます。

ヅウェカビン山の登山ルートからの眺望

さらに鬼のような階段を登ると、ようやく頂上が見えてきました!

ヅウェカビン山の登山ルートから望む頂上

でも、再び鬼階段を登らなければなりません(泣)。

ヅウェカビン山の登山ルートの階段

登り始めて約2時間、頂上の手前にある展望台に到着しました。

ヅウェカビン山の頂上近くにある展望台

地図アプリ「Maps.me」を見ると、「Sunrise Viewpoint」とあります。確かに、ここから日の出を見たら最高でしょうね!

ヅウェカビン山の頂上近くにある展望台からの眺め

ヅウェカビン山の頂上近くにある展望台からの眺め

ヅウェカビン山の頂上近くにある展望台からの眺め

はるか下界を眺めながら、しばし休憩して元気を回復。頂上まで、後少し。

ヅウェカビン山の山頂へと至る階段

すると、階段の上に黄金色に輝くパゴダが見えます。ようやく山頂に到着!

ヅウェカビン山の山頂にあるパゴダ

時刻は10時54分。約2時間30分で山頂に到着したことになります。

同行したKさんが、かなりお疲れの様子だったので、ペースを落としてゆっくりと登りましたが、健脚の方なら2時間はかからないかも。

山頂には電波塔もあります。

ヅウェカビン山の山頂にある電波塔

山頂の西側に展望台のような場所がありました。

ヅウェカビン山の山頂の西側にあるビューポイント

登山道の途中にある幾つかのビュー・ポイントからの眺めも良かったですが、この展望台からの眺望が一番美しかったです!

ヅウェカビン山の山頂の西側にあるビューポイントからの眺望
ミャンマーでは、およそどんな山の頂上にもパゴダが見えます

ヅウェカビン山の山頂の西側にあるビューポイントからの眺望

前日の寺院巡りツアーで訪れたチャウッカラッ・パゴダが眼下に見えます。地図で見ると、チャウッカラッ・パゴダまで2キロ程の距離。

ヅウェカビン山の山頂から望むチャウッカラッ・パゴダ

しばし山頂からの眺望を楽しんだ後、あたりを散策すると、頂上付近に食堂がありました。日の出を見るために僧房に泊まっても、食事には困らなさそうです。

ヅウェカビン山の山頂付近にある食堂

同行したKさんと一緒に昼食を取りました。ポテトと豆腐のヒンとライスで、3000チャットなり。

ポテトと豆腐のヒンとライス

食堂で30分ほど休憩して、12時過ぎに下山することにしました。

約1時間余りで麓まで戻ることができました。

ヅウェカビン山の山頂から下山

下山してから思わぬバイク・トラブルが発生

下山して入口付近に停めてあったモーターバイクで走り始めようとしたところ、何故かエンジンがかかりません。

ややっ? ガソリン不足? と思いつつ、ルンピニー・ガーデンの入り口の門の近くにあった店でガソリンを500チャット分だけ購入。

しかし、やはりエンジンがかかりません。途方に暮れましたが、幸運なことにすぐ近くにバイクの修理屋を発見。

ルンピニー・ガーデンの入り口近くにあるモーターバイクの修理屋

助かった! バイクを持ち込んで見てもらうと、どうやら点火プラグの不良が原因のようです。点火プラグを交換すると、果たしてエンジンがかかりました。

ルンピニー・ガーデンの入り口近くにあるモーターバイクの修理屋

修理代金、2500チャットなり。

……さて、修理代はどーする? 

モーターバイクをレンタルした時の書類があったので、スマホでモーターバイクのレンタル店に電話。簡単な英語でバイクが故障したことを伝えて、バイクをしてくれた方にスマホを手渡しました。

英語は全く話せない方でしたが、事情を察したようでミャンマー語でレンタルバイク屋に何やら説明してくれました。

電話し終わった後、身振り手振りで領収書をお願いすると、事情が察した様子で、すぐに領収書を書いてくれました。

後ほどパアン市内のレンタルバイク屋に戻り、店の女将に領収書を見せると、その場で修理代を精算してくれました。おまけに「悪かったわね」と謝ってくれます。良心的なレンタルバイク屋ですね。

登山の後は、パアンのローカルな天然プールでまったりと休憩

ヅウェカビン山の登頂を終えた後、まだ時間はタップリと余っています。登山で大量の汗をかいたので、「どこかで涼みたいね」という話になり、Kさんの案内でローカルな天然の泉に行ってみることにしました。

コゥカタン洞窟寺院の近くにある天然の泉プール

ソーブラザース・ゲストハウスの洞窟寺院ツアーで行った「泉」とは、また別の所です。パアンを訪れるのは2回目というKさん、さすが事情通ですね。

プールのちょっと手前の空き地が駐車場スペースになっており、そこでバイクの駐車料金を支払って、歩いてたどり着きました。

訪れた天然の泉は、田園の中にポツンとあります。天然の湧き水が小さなプールになっており、その周りを囲むにようにして食堂が並んでいます。自分一人では、辿り着けないローカルスポットです。

コゥカタン洞窟寺院の近くにある天然の泉プールを囲む食堂

この辺りから水が湧き出していました。

コゥカタン洞窟寺院の近くにある天然の泉プール

コゥカタン洞窟寺院の近くにある天然の泉プール

とてもローカルな泉ですが、グーグルマップで確認してみると、「市民プール」とあります。前日の寺院巡りツアーで訪れたコゥカタン洞窟寺院の近くです。

プールで一泳ぎして登山でかいた汗を流して、ミャンマービールで乾杯。

コゥカタン洞窟寺院の近くにある天然の泉プールを囲む食堂

Kさんは、数年前にミャンマーに惚れ込み、毎年、ミャンマーに長期滞在している方。タイからミャンマーに入る陸路の全てを制覇したそうです。いろいろなエピソードを伺いました。

自分はパアンの後、インレー湖にも足を運んでみる予定だと話すと、インレー湖のオススメのスポットもいろいろ教えてもらいました。

気ままな一人ボッチの旅行も楽しいですが、こうして旅先で知り合った旅行者と一杯やりながらも楽しいですね!

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