2019年初頭、ミャンマーの第2の都市・マンダレーに滞在した折、マンダレー近郊の遺跡・ミングンを訪れてみました。
マンダレーには2日だけの短期滞在だったので、どこに行こうかな? と思案しましたが、事前に、モーラミャインで知り合ったマンダレー在住のフランス人女性に連絡してみると、「ミングンがオススメよ」とアドバイスされ、一緒に行ってみることにしました。
ネットで調べてみると、マンダレーからは、市内中心部の西側を流れるエーヤワディー川の船着き場から政府運営のツーリストボートに乗船。
マンダレー市内中心部から北西方向に約11キロの距離に位置しているミングンまで、約一時間ほど到着するとあります。
実際に訪れてみて感じたのは、行く価値有り! でも、ちょっと時間が少ないかな? という感じです。
マンダレーとミングンとの間を往復する政府運営のツーリストボートは、1日1便しか運航していません。スケジュールは、マンダレーの船着き場であるエーヤワディー川ほとりにある船着き場を午前9時出発。帰りのボートは、ミングンの船着き場を12時30分に出ます。片道約約1時間なので、実質、1時間30分~2時間ほどしか時間がありません。
観光ガイドブック風に言えば、「マンダレーから日帰りで行ける半日観光コース」といったところです。ササッと見て回る分には十分な時間ですが、ミングンで食事を取るなどしたり、一箇所、二箇所、じっくり見て回る分には、「もうちょっと時間的に余裕があるといいかなぁ」というのが正直な感想です。
ミングンは小さい集落ながらも、巨大なライオン像と巨大なミングン・パゴダ、世界最大級と言われる巨大なミングン鐘、そして白亜のシンピューメェ・パゴダと見どころが幾つもあります。
以下、実際にミングンの遺跡、パゴダをを見て回った様子をレポートします。ミングンを観光する際、遺跡などを巡る時間配分の参考になれば幸いです。
マンダレーからフェリーボートでミングンへGO!
早朝7時に起床して、宿でビーフン炒め、キャベツ炒め、トースト4枚とたっぷりとした朝食を取った後、フランス人女性が滞在しているボスホテルで待ち合わせ。
ボスホテルからマンダレー旧王宮の西側を流れるエーヤワディー川のほとりにあるボート乗り場まで徒歩で移動しました。
地図で確認すると、マンダレー市内の旧王宮広場の南側を東西に走る「26th Street」の近くです。
ミャンマー マンダレー
Min Kun, ミャンマー
グーグル・マップには「Rendezvous Jetty」とありますが、タクシーやトゥクトゥク、あるいはトンベイン(Thonebike)と呼ばれる三輪タクシー(トライシクル)やバイクタクシーなどを利用する場合は、「ミングン・ジェティ」(ミングン埠頭 / Mingun Jetty)で通じるハズです。
ボートのチケットブースでは、外国人旅行者に混じって、日本人おじさん二人と、若い日本人女性も見かけました。
ミングン行きボートのチケット料金は、往復5000チャット。同行したフランス人女性によると、4年前は1000チャットだったそうです(苦笑)。
なお、ボートの往復チケットを購入する際は、外国人旅行者はパスポートの提示を求められます。あいにくパスポートを宿に置いてきましたが、フランス人女性が二人分を購入してくれました。
「ミャンマーでは常にパスポートを携帯しないとダメよ。いいこと?」と軽く小言をくらいました(苦笑)。
マンダレーの船着き場からからエーヤワディー川を北上してミングンに向かいます!
乗客は、ツーリスト・ボートのデッキに並ぶ椅子に腰掛ける形でしたが、デッキの下部にスペースがあります。混雑するときは、こちらにも乗客が乗り込むのでしょう。
エーヤワディー川は、水の流れがゆったりとした大きな川。青い空と風、気持ちが良いですね。
ボートの舳先には、仏教のお供物のようなものが。いかにも敬虔な仏教国らしさを感じます。
川べりには砂が堆積しています。「4年前に比べて、川の水量がかなり少ないわね。4年前は、こうした砂は見なかったわ」とのこと。恐らく乾季で水量が少ないため、砂場が露出したのかな。
船着き場を出発して48分で、ミングンの船着き場に到着しました。マンダレーに帰るボートは、12時30分にミングンを出発。あまり時間に余裕がないですね。
ボートを降りると、ミングンの入域料を支払うブースがありました。一人5000チャットなり。
ミングンのサッタウヤー・パゴダ(Sat Taw Yar Pagoda)
ミングンの船着き場のすぐ近くに純白に輝くパゴダがあったので、早速、入ってみました。「Sat Taw Yar Pagoda」とあります。「1804年」とあるのは、建立年のことかな。
階段を登ると……。
強い日差しを受けて、白亜とゴールドが燦然と輝く様が綺麗ですね。
なぜか、境内にボートが展示してあります。何か寺院に関連する謂れがあるのでしょうか。
ミングン・パコダの門番! 巨大なライオン像の遺跡
次に訪れたのは、レンガで出来た巨大なライオン像の遺跡。ミングンの船着き場のすぐ近くにあります。
でかっ! とにかくでかい! 後ほど調べてみると、高さ29メートル。
巨大なライオン像の臀部になりますが、お尻のカーブが優雅ですね。
大きなライオン像は2体あります。
ライオンと言っても頭部が崩れて落ちているため、判別しにくいですが、真横から見ると、ナルホド、ライオン像の面影があります。
ライオン像の近くには、ツーリスト用のトイレもありました。十分、綺麗ですね。
巨大なミングン・パトドージー・パゴダ(Mingun Pahtodawgyi Pagoda)の遺跡に驚嘆!
次に訪れたのが、「ミングン・パトドージー・パゴダ(Mingun Pahtodawgyi Pagoda)」。赤茶けたレンガを積み上げた作りの巨大な建造物です。
とにかく、でかいでかい。
先に見たライオン像2体は、ちょうどミングン・パトドージー・パゴダの正面に位置することが分かります。巨大なパゴダの門番ですね。
★ミングン・パトドージー・パゴダ
後ほど調べてみると、「ミングン・パトドージー・パゴダ(Mingun Pahtodawgyi Pagoda)」は一般的な通称のようで、正式名称は「ミングン・パトダウジー(Mingun Pahtodawgyi)」とありました。
何でも、コンバウン王朝の6代目のボドゥパヤー王(1781~1819)が自らの権力を誇示するため、神聖な仏陀の歯の遺跡を奉納する世界最大級のパゴダの建設を目論んだそうな。1790年に着工されたものの、1819年にボドゥパヤー王が崩御したため、建設は中断。未完成のまま今日に至るとあります。
つまり、ミングン・パゴダは未完成の巨大な仏塔の台座部分の遺跡です。もし完成していれば、高さ152メートルにも及ぶ世界一巨大な仏教寺院になっていたそうな。
未完成とはいえ、現在、残されている仏塔の台座部分だけでも高さは50メートルにも及びます。台座部分の底部は正方形となっており、横幅137メートルにも及ぶとあっては、未完成ながらも十分過ぎるほど巨大な寺院遺跡です。
台座部分を時計回りに一周してみました。東側から正面を見るとこんな感じです。
南側から見た「ミングン・パトドージー・パゴダ」。
西側からに回ってみます。
パゴダは、ライオン像と同じく赤茶けたレンガを積み上げて形作られていますが、ところどころに大きな亀裂が入っています。これは、1838年に起こった地震によるもので、現在も崩落が進んでいる様子。
「ミングン・パトドージー・パゴダ」(Mingun Pahtodawgyi Pagoda)の北側付近の様子。
排水溝のようなものがありますね。
巨大な台座の正面右側には、手すりがついた階段があり、上に登ることができます。
履物を脱いで、階段を登ってみました。てっきり、頂上まで行けるのかと思いましたが、途中までしか上がることができませんでした。それでも、近くのエーヤワディー川を望むことができます。
とにかく雄大なミングン・パゴダ。限られた時間ではあるけれど、じっくり見て周りたいところです。
ミングンの仏教寺院
巨大なミングン・パコダを訪れた後、フランス人女性は「私は、近くにあるザ・ガーデンカフェ(The Garden Cafe)に立ち寄るから、あなたは周りを見てらっしゃい」とのこと。
何でも「ガーデンカフェ」のオーナーはフランス人で、知り合いとのこと。いろいろ積もる話があるようです。
そこで、一人で道を北に進むと、茶色の仏教寺院があります。
中に入ってみると、寺院中央に眼鏡をかけた僧の像が設置してあります。
有名な高僧なのでしょうか。後で調べてみましたが、グーグルマップには単に「仏教寺院」とだけあります。
ここはささっと見て終わりにしました。
辺りには、絵や民芸品など売っているお土産屋さんがあちらこちらにあります。
世界最大級の鐘「ミングン・ベル(Mingun Bell)」
次に訪れたのが、その隣にある巨大な鐘「ミングン・ベル(Mingun Bell)」。
「ミングン・ベル(Mingun Bell)」は、こちらもボドゥパヤー王が建設した巨大な釣り鐘です。こちらは生存中に無事完成し、現在はビルマ最大規模の鐘として知られているそうです。
鐘の総重量は90.7トンにも及び、高さ3.7メートル、鐘の下側の外径は約5メートルにも及ぶとあっては、とにかくでっかいのが好きな王様だったようですね。人と一緒に並ぶと、その巨大さが分かります。
あまりに巨大なため、鐘の中に何人も人が入ることができます。小さい頃、お寺にある大きな鐘を見ると、中に入ってみたくなったことを思い出しますね(笑)。実際、ミャンマー人観光客は鐘の中に入ってみたりしています。自分も中に入ってみました。
「ミングン・ベル(Mingun Bell)」は、巨大なミングン・パゴダに設置するために作られたそうですが、パゴダが未完成となっため、現在の場所に置かれています。木製の棒で鐘を突くことができます。
ザ・ガーデン・カフェ(The Garden Cafe)
「ミングン・ベル」を見た後、11時30分にガーデンカフェでフランス人女性と待ち合わせて、今度は二人で「シンピューメェ・パゴダ」を訪れることにしました。
ところで、このガーデンカフェ。なかなか良い感じのカフェ。場所はミングル・ベルのすぐ近く。小道を入って川の方に進むとあります。
名前の通り、川べりに綺麗なガーデンがあります。
食事も取ることができますが、ボートの出発時間が気になって、ゆっくと出来ないことが残念です。
道には屋台も出ているので、小腹が空いたら、軽食を取りつつ、散歩がてら見て回ることができます。
白亜に輝くシンピューメェ・パゴダ(Xinbi Mei Pagoda)
「シンピューメェ・パゴダ」は、ミングンのハイライトとも言えるパゴダです。フランス人女性も、もう一度じっくり見たいとのこと。
境内に入る入口のようなところで、履物を脱いで下駄箱に預けます。
強い日差しの下、どこまでも青い空をバッグに、燦然と純白に輝くバコダが眩しいくらいです。
シンピューメェ・パゴダ(Xinbi Mei Pagoda)は、1816年にバヂードー王が亡き妃のシンピューメェを偲んで、スメール山(須弥山)のスラマニパゴタを模して建設したそうです。ちなみに「シンピューメェ・パゴダ」(Xinbi Mei Pagoda)は通称で、正式名称は「ミャティンダンパゴダ(Mya Thein Tan Pagoda)」。
仏塔の台座部分は、階段とテラスで構成されており、各段の手すり部分のような所が、まるで波打つように凝ったデザインとなっています。
パゴダの周りを囲むようにして波打つデザインのテラスは全部で7つあり、これはスメール山(須弥山)へと続く7つの山脈を意味しているそうです。
なんだか、巨大なデコレーションケーキのようにも見えますね。
フランス人女性によると、毎年のように白く塗り直されているそうです。大事にされているパゴダなんですね。
波打つ台座部分にある階段を登ると、大きなテラスに出ます。参拝客は盛んに記念写真を撮っています。
強烈な日差しを隠れて、わんこが昼寝していました。
広々としたテラスから、さらに仏塔の上に登ることができます。
階段を登ると、仏像が安置されていました。
仏塔の上からは見晴らしを楽しむことができます。近隣の山々やエーヤワディー川を望むことができます。
それにしても、小さな集落ながらも、そこにあるライオン像といい、ミングン・パコダといい、ミングン・ベルといい、とにかくスケールが大きいですね。
頂上に至る階段の途中のテラスで写真を取ったり、頂上に登って景色を楽しんでいると、時刻はアッという間に12時15分。ボートが出発する時間が近づいてきたので、慌てて船着き場へと小走りで戻りました。
フランス人女性は、「ボートの出発時間は、ちょっと問題があるわね。これでは、ゆっくりと遺跡を見て回ることができないし、お土産さんでじっくりお土産を選んだり、ゆっくりと食事する時間が取れないでしょ。ビジネス的な視点からみても、これでは地元住民にとって機会損失よね」と実にクリティカルなコメント(笑)。
確かに、ボートの出発時間は、後1時間は後ろにズラシてくれた方が良いような気もします。でも、ミングンでランチを取ったり、カフェでまったりしなければ、ちょうど良い時間のような気もします。
帰りのボートに乗り、行きと同様、約1時間でマンダレーの船着き場「マヤンチャン埠頭」に戻りました。
ミングン訪問記のまとめ
ミングンで自分が訪れたスポットを地図にまとめると以下の通りです。
Min Kun, ミャンマー
Min Kun, ミャンマー
Min Kun, ミャンマー
Min Kun, ミャンマー
Min Kun, ミャンマー
Min Kun, ミャンマー
Min Kun, ミャンマー
カフェ&レストランの「ザ・ガーデン・カフェ」を含めると、合計7箇所を訪れたことになります。
訪れていないミングンの仏教寺院は沢山ありますが、オススメするスポットは、ズバリ、3つです。
- ミングン・パトドージー・パゴダ(Mingun Pahtodawgyi Pagoda)
- ミングン・ベル(Mingun Bell)
- シンピューメェ・パゴダ(Xinbi Mei Pagoda)
ことにミングン・パトドージー・パゴダとシンピューメェ・パゴダは時間をたっぷりと取り、じっくり見て回りたいところ。それ以外は、合間にササッと訪れる感じで宜しいかと。
これらのスポットは、徒歩で見て回ることができます。地図アプリで確認すると、ミングンの船着き場からメイン通りの奥にあるシンピューメェ・パゴダまで、約約1キロです。
一応、牛車タクシーもあります。以下の写真にはハッキリと写っていませんが、確かに「TAXI」の文字が書かれていました(笑)。でも、特に必要なさそうな。
ミングン自体は、いかにもミャンマーの田舎といった佇まいの小さな集落。どこまでものんびりと落ち着いた雰囲気に溢れています。マンダレーに滞在するなら、半日の日帰り旅行としてうってつけです。