ボントック(Bontoc)は、ルソン北部に位置するコルディリェーラ行政地域(Cordillera Administrative Region, CAR)の表玄関とも言える町です。
2019年夏、ルソン北部に位置するコルディリェーラ行政地域(Cordillera Administrative Region, CAR)を約1ヶ月かけて旅行した時、何度もボントックを訪れました。
バギオに滞在した後、サガダまでバスで移動。サガダに約1週間、滞在した後、サガダからボントックまでジープニーで移動しました。
ボントックからジープニーでマリッグコンに移動した後、いったんボントックまで戻り、今度はカリンガ州を旅行。
その後、再びボントックに戻り、今度はボントックからバナウェまでミニバンで移動しました。
結局、ボントックには一泊もしていないものの、コルディリェーラ行政地域の交通の要となる町のため何度も訪れる形となりました。
ジープニーやミニバンを待つ空き時間は、ひたすらボントックの町を歩いてみました。
コルディリェーラ行政地域の交通の要となる町だけに、ボントックを起点に各地へと運行するバス、ミニバン、ジープニーが相当数、運行しています。
以下、それらの運行スケジュール情報と合わせて、ボントックをガイドします。
ボントックってどんな町?
ボントックはルソン島北部にあるマウンテン州の州都です。
ボントックのすぐ南にはベンゲット州、イフガオ州があり、北側はカリンガ州、アブラ州、東側はカガヤン・バレー地方のイサベラ州、西側はイロコス地方のイロコス・スル州と接しています。
ルソン北部は山岳地帯が広範囲に渡っており、コルディリェーラ行政地域(Cordillera Administrative Region, CAR)となります。
コルディリェーラ行政地域は、6つの州(アブラ州、アパヤオ州、ベンゲット州、イフガオ州、カリンガ州、マウンテン州)から構成されています。
これらの地域には、山岳高地少数民族と呼ばれる様々な少数民族が数多く暮らしており、文化的にも非常に興味深い土地です。
ちなみに、フィリピンの行政単位は、規模の大きさからProvince(州)、City(市)、Municipality(町)、Barangay(村)の順に構成されています。
マウンテン州に広がる棚田(ライステラス)への起点
マウンテン州の州都であるボントックは、地理的に見てルソン北部のコルディリェラ行政地域の要となる町です。
ルソン北部の内陸部に広がるコルディリェラ行政地域と言えば、ユネスコの世界遺産に登録されている「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」があまりに有名です。
「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」は、ボントックがあるマウンテン州の南側に隣接するイフガオ州に点在しています。
加えて、世界遺産には含まれていないものの、マウンテン州やカリンガ州にも美しい棚田(ライステラス)が幾つもあります。
こうした棚田(ライステラス)は世界遺産の登録範囲には含まれていないため、外国人旅行者はほとんど訪れません。その分、俗化していない地域に広がる棚田(ライステラス)の美しさを堪能することができます。
例えば、ハンギング・コフィンで有名なサガダ近辺に広がる棚田(ライステラス)。
世界遺産に登録されているバナウェのバタッド村にある棚田(ライステラス)にも匹敵する美しさを称賛されているマリッグコンの棚田(ライステラス)。
あるいは世界的に名が知られているタトゥー・アーチスト(Mambabatok)のワン・オッド(Whang-od)が暮らす、カリンガ州ティングラヤンのブスカラン村にある棚田(ライステラス)、などなど。
こうした棚田(ライステラス)にはボントックを起点に運行するジープニーで訪れることができます。
ボントックのムニシパル・ツーリストオフィスを訪れよう!
ボントックに到着したら、まず訪れることをオススメする場所は、ボントックのムニシパル・ツーリストオフィスです。
場所は、ボントックの目貫通りに面してあるボントック・ムニシパル・キャピトルの一画にあります。
大通りからボントック・ムニシパル・キャピトルの敷地に入ると、中庭をコの時に囲むにようして建物があります。ボントック・ムニシパル・ツーリストオフィスは、大通りを背に向かって左側の棟の2階にあります。
なお、ボントックはマウンテン州の州都のため、ボントック・ムニシパル・キャピトルとは別に、プロヴィンシャル・キャピトルもあります。
自分は、初めてボントックを訪れた時、勘違いをしてプロヴィンシャル・キャピトルの建物の方に行ってしまいました。ボントック・ムニシパル・キャピトルとプロヴィンシャル・キャピトルは違う建物になっているので、お間違えないように!
ボントックのムニシパル・ツーリストオフィスでは、ボントックを起点とする各地の旅行・観光情報、の移動アクセス情報を詳細に提供してくれます。旅行パンフ的なものも相当数、置かれています。
これまでフィリピン各地のツーリストオフィスを訪れてきましたが、その質は様々です。全くといっていいほど有益な情報を提供してくれないばかりか、あからさまに外国人を小馬鹿にするような態度を取られたこともあります。
その点、ボントックのムニシパル・ツーリストオフィスは情報が充実しており、スタッフもフレンドリー。
自分の場合は、あくまでバックパッカースタイルの個人旅行ですが、グループ旅行でガイドやミニバン等が必要な場合も、ボントックのムニシパル・ツーリストオフィスで紹介・手配も行うようです。
ボントックからのアクセス情報
フィリピン旅行で、ちょっと困ったことの一つは、バス乗り場が会社ごとにバラバラなことです。ボントックも例外ではありません。
例えば、ボントックからバナウェに行くには、バス、ミニバン、ジープニーの3種類のアクセス方法がありますが、乗り場はそれぞれ別々の所にあります。
以下、ボントックと各地を結ぶバスやジープニー等の乗り場と時刻表をまとめてみました。旅行の参考にどうぞ。
※2019年7月時点での情報です。バスやジープニーの出発時間は、随時、変更する可能性があります。ムニシパル・ツーリストオフィスで最新の情報をゲットすることがオススめです。
ボントックからバナウェへのアクセス情報
ボントックからバナウェには、バス、ミニバン、そしてジープニーの3種類のアクセス方法があります。
ボントックとバナウェとの間を運行しているバス会社は、Von Von、AV Trans、Immanuel Transの3社です。
ボントックのツーリストオフィスによると、Von Vonのバスは午前8時にボントックを出発。AV Transのバスは午前9時にボントックを出発。
ツーリストオフィスによると、Von VonとAV Transのバス乗り場は、オール・セインツ・カテドラルの横あたりにあるそうです。
Immanuel Transのバスは午前10時にボントックを出発します。Immanuel Transのバス乗り場は、ツーリストオフィス近くにあるニューマウンテンホテル(New Mountain Hotel)の前あたり。
3社とも小型のバスで、料金は片道120ペソ。所要時間は1時間30分前後が目安です。
ボントック⇔バナウェ間はミニバンとジープニーも運行しています。
ボントック発のミニバンは、午前9時30分から14時30分の間、随時、運行。料金は片道150ペソと、小型バスよりちょっと高いです。所要時間は1時間30分前後が目安です。ミニバンの乗り場は、Cooperative Bankの横辺りになります。
バナウェ行きジープニー乗り場は、ツーリストオフィスのすぐ近くにあるTchayapan Hotelの前あたりにあります。
ジープニーは乗客が集まったら出発するスタイルで、午前9時30分から14時30分の間を目安に運行しています。
料金は、ミニバンと同じく片道150ペソ。所要時間は1時間30分前後が目安です。
これら小型バス、ミニバン、ジープニーのどれを選ぶか? と思案するというよりは、自分の出発時間に合わせてチョイスする形になると思います。
ボントックからサガダ(Sagada)へのアクセス情報
ボントックとサガダとの間は、ジープニーが相当数、運行しています。ツーリストオフィスによると、ボントック発のジープニーは13時30分~17時の間に随時、運行。乗客でいっぱになったら出発するスタイルで、本数はかなり多めです。
サガダ行きのジープニー乗り場は、ウォルター・クラップ・セントラム(Walter Clapp Centrum)という建物の前。建物の対面には、マウンテンホテルの旧館(?)があり、当初は、ツーリストオフィスのすぐ近くにあるニューマウンテンホテルと間違えしまいました。
なお、ボントック⇔サガダ間にはライステラスの眺めを堪能できる箇所もありますが、外国人旅行者がジープニーの屋根から落下する事故があったため、ジープニーの屋根の上に登ることは禁止されています。
やっぱり、そういう事故があるんですね。
ボントック⇔マリッグコン(Maligcong)間を走るジープニー
ボントックとマリッグコン・ライステラス(Maligcong Rice Terraces)との間は、ジープニーが1日6本、運行しています。
ジープニー乗り場は、ボントック・パブリックマーケットの北西の角付近です。パインズ・キッチネッテ・イン(Pines Kitchenette and Inn)という簡易レストランの対面あたり。
※グーグルマップでは、間違った場所に「マリグコン・ジープニー・ステーション」が表示されています。ツーリストオフィスでゲットした情報とは違うので、「おかしいな?」と思いつつ行ってみたところ、上記の場所だと分かりました。
晴れた日なら、ジープニーの屋根に陣取ると絶景を楽しむことができます。ただし、ジープニーから落ちてしまう危険性もあるので、自己責任で。
ジープニーの運行スケジュールは以下の通りです。
ボントック発 | マリッグコン発 |
---|---|
08:00発 | 06:30発 |
12:00発 | 08:00発 |
14:30発 | 09:00発 |
16:30発 | 14:00発 |
17:30発 | 16:00発 |
料金は、片道20ペソ。
※ジープニーの出発時間は、あくまで目安です。乗客が一杯になれば予定より早く出発することもあります。
自分は、ボントック12時発のジープニーに乗車するつもりで、マーケット近くで昼食を食べた後、11時45分頃にジープに乗り場に行ったところ、既にジープニーが出た後でした。
早めに行って停車しているジープニー内で待つにこしたことはないですね。
自分は、ボントック⇔マリッグコン間を走るジープニーに合計4回乗車しましたが、所要時間は片道約30分といったところ。それほど遠くありません。
山の上にあるマリッグコンからボントックへ戻るときは、歩こうと思えば歩けます。その場合、1時間30分ぐらいかかると思います。
マイニット(Mainit)へのアクセス情報
マイニット(Mainit)は、棚田(ライステラス)と温泉施設がある村です。
マリッグコンからマイニット(Mainit)までトレッキングすることもできますが、ボントックとマイニットとの間をダイレクトに結ぶジープニーが運行しています。
ボントック発のジープニーは13時30分から15時の間に約2便が運行。マイニット発ボントック行きのジープニーは、早朝7時30分から早朝8時にかkて約2便が出ています。
料金は片道40ペソ。所要時間は約1時間30分が目安です。
マイニット行きのジープニー乗り場は、ボントック・パブリックマーケットの南西の角にあります。
バーリグ(Barig)へのアクセス情報
バーリグは、バナウェ近辺で一番高い山であるアムヤオ山(Mt.Amuyao)へのトレッキングの起点となるバランガイ(村)です。
アムヤオ山(Mt.Amuyao)は、バナウェ方面からのトレッキングの方が一般的かも知れませんが、もちろんバーリグ方面からも登ることができます。
ボントック発バーリグ行きのジープニーは13時から16時の間に運行しています。料金は片道110ペソ。所要時間は片道約2時間が目安です。
ボントックからバーリグへと行くジープニーの乗り場は、オール・セインツ・カテドラルの近くです。
バーリグ発ボントック行きのジープニーは、早朝7時から早朝8時の間に運行。
ブスカラン(Bucalan)へのアクセス情報
カリンガ州にあるバランガイ(村)の一つであるブスカランは、まだ一般的には知られていませんが、美しい天空の棚田(ライステラス)、そして世界的に有名なタトゥー・アーチスト、ワン・オッドが暮らす村として、一部の外国人旅行者の間で注目を集めつつある村です。
自分は、カリンガ州のルゥプルパを旅行した後、ボントックに戻る途中でブスカランを訪れました。そのため、ボントックからは訪れていませんが、ボントックからはブスカラン行きのジープニーが運行していることは確認しています。
ブスカラン行きのジープニー乗り場は、ボントックのパブリックマーケット近くにあるMPSPC(Mountain Province State Polytechnic College)の横辺りです。
ジープニーは、ボントックを午後2時から3時の間に出発。料金は片道110ペソ。所要時間は約2時間が目安です。
ブスカラン発ボントック行きのジープニーは、早朝9時にブスカランを出発します。
ボントックからバギオ(Baguio)へのアクセス情報
ボントックとバギオとの間は、GL Transというバス会社が1日数便、バスを運行しています。
バス料金は片道220ペソ。時刻表は以下の通りです。
ボントック発 | バギオ発 |
---|---|
08:00発 | 06:00発 |
09:00発 | 07:00発 |
10:00発 | 10:00発 |
12:00発 | 14:30発 |
13:00発 | – |
14:30発 | – |
マニラへのアクセス情報
コーダラインというバス会社がメトロマニラ(正確にはケソン市クバオ)⇔バナウェ⇔ボントック⇔サガダ間を1日数便、運行しています。
クバオには数多くのバス会社が、それぞれ別個のバス・ターミナルを持っていますが、コーダラインのクバオのターミナルは、Trinity University of Asia Campusの中にあります。
コーダラインの公式サイトに、時刻表と料金が掲載されています。
ボントックの町ガイド
ボントック・パブリックマーケット
ボントックの目貫通りに面してパブリック・マーケットがあります。
ざっと見た限りでは、特にオススメの場所というわけではありませんが、ボントックの中心部にあるので、場所を押させておくと便利です。
時間があるならボントック・ミュージアム(Bontoc Museum)へGO!
バスやジープニーを待つ空き時間がある場合、オススメしたいのがボントック博物館(Bontoc Museum)です。ボントックのパブリックマーケットから歩いて数分の距離にあります。
フィリピンの山岳高地少数民族、イゴロット族(Igorot tribes)に関する人類学的な資料が展示されています。
昔の写真が多数、展示されていることをはじめ、鋤、鍬、臼などの農具、そして、かつては首狩族だった頃に使用されれていた武器類などが豊富に展示されています。
入口付近には、少数民族の音楽の音源がCDやカセットで販売されていました。購入しておけば、良かったかな。
敷地内には、2階建ての展示館とは別に、伝統的な家屋を再現した野外展示場があります。家屋だけでなく、村落コミュニティの集会所等も再現されており、野外展示もてとても充実しています。
バナウェやカリンガでも博物館を訪れてみましたが、同じ山岳高地少数民族とは言え、家屋の構造など随分、異なる印象を持ちました。
昔、フィリピンの民族舞踊団の公演を数回、見たことがあります。演目の一つに、必ずボントックの踊り--女性が壺を頭の上に乗せて踊る演目が含まれていました。そんなことを思い出しながら、展示物を見て回りました。
これまで訪れたコルディレーラ地方の博物館の中では、一番といって言いほど充実していました。
ボントックに宿泊するなら、あるいはバス/ジープニーの出発を待つ空き時間ができたなら、マストで訪れた場所の一つです。
入場料金 一人70ペソ。
休館日 日曜