ワット・ウモーンは、チェンマイ旧市街の西、ステープ地区に位置しています。旧市街の喧騒を離れた静かな区域、ちょうどステープ山の麓、鬱蒼と生い茂った木々の中にあります。
その歴史は古く、ランナータイ王朝の初代メンラーイ王が都をチェンマイに定めた際、スリランカから招いた僧侶が修行できる仏教寺院として1293年に建立された古刹です。
当時、11箇所の竹林を寄進して、スリランカ様式に則って建立されています。
その後、14世紀末にはアナータムミカラート王(1367~1387年)が僧侶の瞑想修行のため、4つの入り口を持つ洞窟(トンネル)を掘らせました。
タイ語で「ウモーン」とは、文字とおり「洞窟(トンネル)」という意味。以降、この仏教寺院は「ウモーンの寺」、つまり「ワット・ウモーン」と呼ばれるようになった経緯があります。
僧侶たちは、レンガ造りの洞窟(トンネル)の中で、瞑想の修行に励んだそうです。
現在も、各地から集まった僧侶が瞑想修行を行っています。希望すれば、外国人でも瞑想修行に参加できます。英語での受け付けも可能です。
ワット・ウモーンへのアクセス
ワット・ウモーン寺院はチェンマイ旧市街の西、ステープ地区に位置しています。旧市街の西側にあるスアンドーク門から約3キロメートルほどの距離にあります。ステープ山の麓に当たります。
旧市街から歩こうと思えば歩けます。スアンドーク門から徒歩30分ほどの距離です。
旧市街のスアンドーク門から西方向に延びるステープ通りを、約2キロメートルほど西に進みます。ステープ通りには、安くて美味しそうな飲食店が並んでいます。
そしてソイ4・ワット・ウモーンを南下します。少し上り坂となっているソイ4・ワット・ウモーンを約1キロメートルほど歩くと、木々に囲まれるようにしてワット・ウモーンがあります。
ソイ4・ワット・ウモーンには、ポツンポツンと小洒落たショップもあります。
時間があるならば、ゆっくりと散策しながらワット・ウモーンを訪れてみると面白いです。
あまり時間がない方は、旧市街からソイ4・ワット・ウモーンの入り口まで、乗り合いソンテウで移動。ソイ4・ワット・ウモーンを歩いてワット・ウモーンを訪れるアクセス方法が実際的です。
135 หมู่ที่ 10 Tambon Su Thep, Amphoe Mueang Chiang Mai, Chang Wat Chiang Mai 50200 タイ
4つの寺院を合わせた広大な境内をゆったりと散策
ワット・ウモーンは、瞑想修行を中心とした宗派の仏教寺院です。各地から集まった僧侶が瞑想修業に集中できるよう、喧騒から離れた山林の中にあります。
現在、4つの寺院が寺院を合わせた瞑想修行センター「スアン・プッタタム」として機能しています。
今日、国際的にも知られている寺院ですが、かつては地元チェンマイの人々の間でも、それほど知られていなかったとか。
入り口から中に入ると、まるで自然公園の中を散策しているような静謐な魅力に溢れています。
静かな森林の中、広大な敷地内に歩みを進めると、仏教の教えが書かれた看板が立てられています。
これは、1949~1966年にかけて寺の住職を務めたパンヤー・ナンタピックという高僧によるものと言われています。
ちなみに、タイの仏教では、街中にある寺院で修行する僧侶を「カーマワーシー」と呼び、森林に住んで修行する僧侶を「アランワーシー」と呼ぶそうです。
7つの尖塔と彫刻が見事なワット・チェット・ヨート(Wat Ched Yod)も広々とした空間が広がっていますが、広さという点では、ワット・ウモーンははるかに凌駕しています。
敷地内には図書館が併設されています。仏教にまつわる英語の書籍も充実しているそうです。
境内を散策していると、頭を丸めた西洋人が白い服を着て歩いている姿を見かけます。修行期間中は、僧侶以外とのコミュニケーションは禁じられているそうです。
静寂に包まれた森林の中、瞑想修行するには、本当に絶好の環境ですね。
敷地内では、放し飼いとなっている鶏をあちらこちらで見かけます。鶏の鳴き声が時折、聞こえてきます。
洞窟(トンネル)の入り口の近くには、古い仏像が無造作に野外に並べてあります。
仏教遺跡も、ごくごく無造作に置かれています。
瞑想修行のため掘られた洞窟(トンネル)
瞑想修行のため掘られた洞窟(トンネル)は、境内の奥の方にある小高い丘のようなところにあります。
アナータムミカラート王(13671387年)が僧侶の瞑想修行のため掘らせたという4つの入り口を持つ洞窟(トンネル)です。
洞窟(トンネル)は、小さな丘の側面に掘られているような形となっています。丘の上、つまり洞窟(トンネル)の上には大きな円形の仏塔(チェディ)があります。
靴を脱いで素足で洞窟(トンネル)の中を入ると、茶色の石のタイルが素足にひんやり。気持ちがいいですね。
別の洞窟(トンネル)から出たり、裏側から仏塔へと上がることもできるので、靴を持って中に入ってもいいですね。
洞窟(トンネル)の奥の方に進むと、仏像が安置されています。
洞窟(トンネル)は合計4つの入口があります。表側に3つの入口、裏側に1つの入口があり、それぞれが内部で繋がっています。
トンネル内の数箇所に、仏像が静かに鎮座しています。
仏像の前で熱心にお祈りを捧げているタイ人の姿を見るたびに、自分の宗教観を問われているような気持ちになります。
洞窟の壁には、よく見ると鳥や花の絵が描かれていますが、ほとんどかすれています。
この壁画は、ラーンナー最古といわれる貴重なもので、元々は朱色の上に蓮、牡丹、孔雀などが描かれていたそうです。
ワット・ウモーンの仏塔(チェディ)
メインの入り口の裏側に抜けると、ちょうど洞窟(トンネル)の上にある仏塔(チェディ)がある場所へと抜けることができます。
ワット・ウモーンの仏塔は、巨大な円形の基壇の上に、堂々と聳え立っています。スリランカ様式なのでしょうか。堂々たる仏塔です。
後で調べたところ、スリランカとスコータイの影響を受けた形状とのこと。仏塔の基壇部分には蓮、上の方には天使の彫刻が施されています。
仏教の祭日には、仏塔の周りで説法も行われるそうです。
洞窟からではなく、表の左側にある階段から、仏塔へ上がることもできます。
階段には、仏教寺院ではお馴染みの「ナーガ」と呼ばれる蛇神の装飾があります。
アップで見ると、かなり迫力があります!
近くには、「ナーガ」を祭った祠もあります。
大きな池を見下ろすことができるポイントもあります。後で聞いたところによると、この池には大きなナマズがいるそうです。
とにかく広いです! 生い茂った木々の中、森林浴を楽しむことができます。
境内にあるトイレも清潔で言うことなし。よく管理された自然公園のようです。
ワット・ウモーンは旧市街から少し離れているため、訪れる観光客もまばらです。
黄金色や朱色の豪華絢爛たる仏教寺院も魅力的ですが、あくまで修行に重きを置いたワット・ウモーンの雰囲気は、日本人の感性によく合っています。
チェンマイを訪れたら、森林浴も兼ねて是非、訪れてみて下さい。
ワット・ウモーンの概要
- 名称
- ワット・ウモーン / Wat Umong
- 時間
- 8時~17時。休日無し。
- 入場
- 無料
- 所在地
- 135 Moo 10, Su Thep Rd, Muang Chiang Mai, Chiang Mai 50200
- アクセス
- チェンマイ市内の中心部から車で約25分
番外編 ワット・ウモーン近くにある訪れてみたいイチオシのカフェ
ワット・ウモーンを訪れたら、是非、立ち寄って欲しいカフェがあります。ワット・ウモーンの隣にある「ペーパー・ムーン」です。隣といっても、とにかく広大な敷地を持つワット・ウモーン。場所は地図を見て下さいね。
緑豊かな木々に囲まれたペーパー・スプーンは、可愛らしいナチュラルな感じのカフェです。
雑貨、小物を扱った小屋があるかと思えば、ブランコや滑り台があったりとファミリー層を意識したカフェです。
カフェのメインとなっている建物の2階に上がると、ちょっと見晴らしがいいですよ。自由に上がることができます。
ワット・ウモーンを訪れて歩き疲れたら、まったりとした時間を過ごすことができます。
アイス・カフェ・モカ(60バーツ)を頼んで、小一時間ほどまったりとしました。
お腹が減っている場合は、ワット・ウモーンの入り口近くに、「ウモーン・カフェ」というローカルな飯屋もあります。
カフェ、ペーパー・スプーンの概要
Su Thep, Mueang Chiang Mai District, Chiang Mai 50200 タイ
135 หมู่ที่ 10 Tambon Su Thep, Amphoe Mueang Chiang Mai, Chang Wat Chiang Mai 50200 タイ
- 名称
- ペーパー・スプーン / Pager Spoon
- 所在地
- Su Thep, Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200
- アクセス
- チェンマイ市内の中心部から車で約25分
- 営業時間
- 10時30分~16時30分。定休日:火曜・水曜
- 電話 / Tel
- 053–
- 公式サイト
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